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東戸塚田園眼科クリニック
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田園通信

2025年05月01日 [眼科 東戸塚]

緑内障シリーズ3:予防できる緑内障と予防できない緑内障がある:閉塞隅角緑内障と開放隅角緑内障

東戸塚田園眼科です。前回は、緑内障が他の病気や薬剤により緑内障になる続発緑内障と、他に原因がなく眼球の問題として緑内障になる原発緑内障に分けられていることをお伝えしました。今回は、その目に問題がある原発緑内障は、予防できる閉塞隅角緑内障予防できない開放隅角緑内障があることをお伝えしたいと思います。どちらも早期発見が重要で、閉塞隅角緑内障は予防治療を、開放隅角緑内障は眼圧を下げる治療を開始します。

隅角とは目の中の水分である房水の出口

緑内障は医学用語が難しいので、まず「隅角」を説明します。隅角は、目の中の水分である「房水」の出口がある場所です。隅角は、角膜と黒目の隅にある角の部分です。その角の奥に、「線維柱帯」と呼ばれる網目構造の膜があり、この膜を通ってシュレム氏管という目の外の血管につながっている排水路に流れ込みます。


開放隅角と閉塞隅角

正常では、隅角は広く開いており、房水はスムーズに線維柱帯を通って排出されます。開放隅角緑内障は、隅角は広いが線維柱帯の通りが悪くなり眼圧が上昇して視神経が傷む緑内障と考えられてきました。過去形で書きましたのは、疫学調査の結果、この開放隅角緑内障の約90%は眼圧が高くないのに視神経が傷む緑内障であることがわかってきたからです。正常眼圧緑内障といいます。視神経が眼圧に弱いと考えられています。眼圧が高いにしろ正常にしろ、隅角が広い点は共通しています。合わせて、日本の緑内障の78%は開放隅角緑内障です。

一方、閉塞隅角緑内障は、加齢とともに水晶体が大きくなるとともに隅角が狭くなる人がなる緑内障で日本の緑内障の12%を占めます。隅角が狭くなることを「閉塞隅角症(狭隅角)」といいます。一般に、近視よりは遠視や正視の方、男性よりは女性の方が閉塞隅角症になりやすい傾向があります。閉塞隅角症が進んで、眼圧が上昇して視神経が傷んだら「閉塞隅角緑内障」といいます。

原発緑内障の2分類
@ 隅角は広いが線維柱帯の通りが悪くなる➡開放隅角緑内障
A 隅角が狭くなる➡閉塞隅角緑内障

閉塞隅角緑内障には急性緑内障発作が起きる恐れあり

閉塞隅角緑内障は、突然、急激に眼圧が上昇して、放置すれば数日で失明に至る急性緑内障発作を起こすことがあります。目と頭の尋常ならぬ痛みと吐き気・嘔吐により、受診して発見されます。急性緑内障発作は、虹彩と水晶体の間の房水の流れが突然遮断され(瞳孔ブロックといいます)、房水が虹彩の後ろにどんどん溜まって、虹彩が前へ押し出されて隅角を閉じてしまうために起こります。

閉塞隅角緑内障は予防できる

緑内障は無症状のことが多く、他の理由で眼科受診して発見されることがほとんどです。開放隅角緑内障は、検査で眼圧が高ければ発見しやすく、早めに発見できれば緑内障点眼で予防できます。しかし、先述したように約90%は眼圧が正常であるため、予防は難しく、視野検査やOCT検査(目の奥の断層像を撮影する検査)で異常を認めて治療開始になります。
一方、閉塞隅角緑内障は眼科を受診していただければ、隅角が狭いことがわかります。まだ、視神経が傷んでいない「閉塞隅角症(狭隅角)」の段階で見つかることが多く予防治療が可能です。治療法は、2通りあります。白内障がある方は白内障手術、白内障がまだない方は、レーザー虹彩切開術を行う傾向があります。隅角が狭くなる根本原因は、加齢とともに水晶体が大きくなることですから、薄い眼内レンズに置き換える白内障手術により隅角は若い頃よりも広くなります。レーザー虹彩切開術は虹彩の端に孔をあけて房水のう回路を確保しますので、虹彩と水晶体の間の房水に流れが遮断されても、このう回路が房水の流れを維持し、急性緑内障発作を予防できます。

眼科受診のポイント

眼科で行う眼圧検査は開放隅角緑内障の発見に有効です。医師の診察では隅角が狭いか広いかがわかります。いずれも自分ではわかりません。40歳を目安にご自分の目の状態を確認されてはいかがでしょうか?

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