田園通信
2025年06月30日 [眼科 東戸塚]
【緑内障シリーズ5】ご存じでしょうか?〜日本人の緑内障の72%は眼圧が正常な緑内障〜
東戸塚田園眼科です。今回は患者さんからすると、わかりにくい正常眼圧緑内障についてお伝えします。
■正常血圧:正常血圧なら問題ないとされ、血圧を下げる治療は行わない。
■正常眼圧:正常眼圧は緑内障がない人の眼圧の分布範囲にすぎない。正常眼圧でも緑内障になる人が多く、眼圧を下げる治療が必要。
1. 高眼圧でなる緑内障(28%):眼圧は21mmHgをはるかに超えることが多い。
(ア) 原発開放隅角緑内障の高眼圧型
(イ) 原発性閉塞隅角緑内障
(ウ) ぶどう膜炎による緑内障
(エ) 糖尿病性網膜症の血管新生緑内障
など
2. 正常な眼圧でなる緑内障(72%):眼圧は10~21mmHgの範囲にとどまる。
どういうことか説明します。ここに挙げたような、さまざまな原因で、眼圧が急に上がる目の病気があります。どこまで高い眼圧に耐えられるかは個人差が大きいのですが、それでも誰でも緑内障になってしまう高い眼圧があるのです。はっきりした数字はわかっていませんが、例えば30mmHgを超えるような高い眼圧が続けば、誰でも緑内障になってしまうでしょう。いわば、目の奥の視神経の守りは正常だが、高眼圧という攻撃が強すぎて、視神経が負けてしまうといえます。
これに対して、正常眼圧緑内障は、眼圧は高くないため、目の奥の視神経が眼圧に弱いために起きると考えられています。攻撃は弱いが、視神経の守りが弱いために起きてしまう緑内障と言えます。
そして、この眼圧下降に成功したら、あとは視野検査を繰り返して、進行のスピードを読み取り、想定通り進行が遅ければ同じ治療を継続し、想定外に進行が速ければ点眼を増やすなど治療を強化していきます。

日本人の緑内障の72%は正常眼圧緑内障
緑内障では、眼圧が重要と説明を受けますね。そして、眼圧を下げる点眼薬を処方されます。てっきり、自分の眼圧は高いのかと思われる患者さんが多いのではないかと思います。しかし、実は、日本人の緑内障の72%は、眼圧が正常な範囲で変動する「正常眼圧緑内障」なのです。「眼圧は正常ですが、目薬で眼圧を下げましょう。」と説明を受けてもピンときませんね。どういうことなのでしょう?血圧の先入観が邪魔をする
前回ご説明しましたように、正常な眼圧の目安は、“10〜21mmHg(ミリメートル水銀柱)”とされていますが、この範囲なら正常(緑内障でない)なのではなく、「正常な人(=緑内障でない人)の眼圧の分布」に過ぎないのです。ここが、血圧の考え方との大きな違いです。血圧は、家庭血圧では115/75mmHg以下、診察室血圧では120/80mmHg以下なら、正常で問題ないと説明されます。この血圧の考え方に慣れているため、それを緑内障に当てはめて考えると、混乱してしまいます。■正常血圧:正常血圧なら問題ないとされ、血圧を下げる治療は行わない。
■正常眼圧:正常眼圧は緑内障がない人の眼圧の分布範囲にすぎない。正常眼圧でも緑内障になる人が多く、眼圧を下げる治療が必要。
眼圧が高くて起きる緑内障と正常眼圧緑内障に分かれる
もうひとつ、混乱する要因は、緑内障の28%は眼圧が高くなって起きるという事実です。1. 高眼圧でなる緑内障(28%):眼圧は21mmHgをはるかに超えることが多い。
(ア) 原発開放隅角緑内障の高眼圧型
(イ) 原発性閉塞隅角緑内障
(ウ) ぶどう膜炎による緑内障
(エ) 糖尿病性網膜症の血管新生緑内障
など
2. 正常な眼圧でなる緑内障(72%):眼圧は10~21mmHgの範囲にとどまる。
どういうことか説明します。ここに挙げたような、さまざまな原因で、眼圧が急に上がる目の病気があります。どこまで高い眼圧に耐えられるかは個人差が大きいのですが、それでも誰でも緑内障になってしまう高い眼圧があるのです。はっきりした数字はわかっていませんが、例えば30mmHgを超えるような高い眼圧が続けば、誰でも緑内障になってしまうでしょう。いわば、目の奥の視神経の守りは正常だが、高眼圧という攻撃が強すぎて、視神経が負けてしまうといえます。
これに対して、正常眼圧緑内障は、眼圧は高くないため、目の奥の視神経が眼圧に弱いために起きると考えられています。攻撃は弱いが、視神経の守りが弱いために起きてしまう緑内障と言えます。
正常眼圧緑内障は危険な眼圧の個人差がある
正常眼圧緑内障は、治療する前の眼圧が重要です。治療する前の眼圧が、その方の緑内障を引き起こした危険な眼圧と考えられるのです。その眼圧は、12mmHg前後の人もいれば、18mmHg前後の方もいるというぐあいに、個人差が大きいのです。正常眼圧緑内障は治療前の危険な眼圧から20~30%下げる
正常眼圧緑内障の方は、治療前の眼圧の変動を調べ、その平均値から20%または30%下げると、進行が大幅にスローダウンすることがわかっています。つまり、視神経の守りは弱いままですが、眼圧がこの程度下がることで、攻撃が弱まって、耐えられるようになるということですね。そして、この眼圧下降に成功したら、あとは視野検査を繰り返して、進行のスピードを読み取り、想定通り進行が遅ければ同じ治療を継続し、想定外に進行が速ければ点眼を増やすなど治療を強化していきます。