[眼科 東戸塚]
2025年07月31日
【緑内障シリーズ6】眼圧が正常な緑内障の方は治療前の眼圧を書き留めて!
東戸塚田園眼科です。今回は患者さんからすると、前回お伝えしました正常眼圧緑内障の方がほとんど覚えていない鍵となる情報についてもう一度強調したいと思います。
治療開始前の眼圧がわからないと目標が決められない
前回、「正常眼圧緑内障の方は、治療前の眼圧の変動を調べ、その平均値から20%または30%下げると、進行が大幅にスローダウンすることがわかっています。」とお伝えしました。ということは、治療前の眼圧がわからないと治療の目標となる眼圧が決められないということになります。緑内障の治療は多剤併用
緑内障の点眼薬は種類が多くあり、眼圧が目標眼圧にまで下がるまで点眼薬の種類を増やしていきます。これを多剤併用といいます。医師が出す緑内障点眼薬を1種類点眼していたら大丈夫というわけではないのですね。ということは、目標が決まっていなければ、必要な点眼薬の種類を決めていくことができないのです。眼圧は日内変動と季節変動がある
眼圧には一日の間でも変動があります。午前と午後でも眼圧の数値が異なります。これを日内変動と言います。季節変動もあり、寒い時期は高く、夏場は低くなる傾向があります。このため、治療前に1回眼圧を測っただけでは、治療前の眼圧帯を知ることはできません。季節が変わるまで治療を開始しないわけにはいきませんので、少なくとも日内変動は把握しておきたいところです。3回の診察日の治療前眼圧を測っておくと役に立ちますが、受診日を午前と午後に分けるなど時間帯を変えるとより良いでしょう。治療前の眼圧が不明なら視野の重要性が増す
眼科を初診になった緑内障の患者さんに、治療前の眼圧を質問してもわからないという回答が返ってくることが多いです。そこで、前医に照会すると、それでわかる場合もあれば、わからない場合もあります。どうしても、治療前の眼圧がわからない場合はどうすれば良いでしょうか?一つには、緑内障点眼薬を止めて、無治療時の眼圧を再評価する方法があります。しかし、視野障害が強いと、なかなか点眼を止めにくいのも現実です。さらには、緑内障治療でいちばん用いられているPG製剤点眼薬は眼内組織の構造変化を伴う治療薬であり、中止後も効果が部分的に持続するため、止めても正確な治療前の眼圧を知ることは難しい面もあります。こうした場合は、視野検査がより重要になります。視野検査を4カ月に1回程度のペース(例)で行い、進行の速さをしっかり求めていき現在の点眼薬で十分かどうかを評価していきます。